なぜ多くの発信者は、数年でいなくなってしまうのか
副業やコンテンツ販売を始めたばかりの頃は、誰でも少なからず期待を持っています。
自分の経験を発信すれば、誰かの役に立てるかもしれない。
SNSを続ければ、少しずつ読者が増えるかもしれない。
noteやブログを書けば、いつか商品が売れるようになるかもしれない。
最初から「数年後には辞めているだろう」と考えて始める人は、ほとんどいません。
それでも実際には、発信を始めた人の多くが、半年、1年、3年という時間の中で少しずつ姿を消していきます。
以前は毎日のように投稿していた人が、ある日を境に更新しなくなる。
「今年こそ結果を出します」と宣言していた人のアカウントが、数か月後には止まっている。
フォロワーも増え、商品も売れているように見えた人でさえ、気づけば発信をやめている。
私は長く発信を続ける中で、そうした場面を何度も見てきました。
では、なぜこれほど多くの人が途中でいなくなってしまうのでしょうか。
本人の努力が足りなかったからでしょうか。
才能がなかったからでしょうか。
文章を書く能力や、商品を作る能力がなかったからでしょうか。
もちろん、原因は一つではありません。
生活環境が変わった人もいるでしょう。
本業が忙しくなった人もいます。
思うように結果が出ず、自信を失ってしまった人もいます。
ただ、多くの発信者を見てきた私が感じているのは、もっと根本的な問題です。
それは、多くの人が「発信を続けること」そのものを収益の土台にしてしまっていることです。
毎日投稿し続けなければ売上が止まる状態
たとえば、SNSで商品を販売する場合を考えてみてください。
毎日投稿する。
読者と交流する。
反応が取れる企画を考える。
フォロワーを増やす。
販売期間になったら何度も告知する。
この流れで商品が売れるようになると、最初のうちは手応えを感じます。
自分の投稿を見て、商品を買ってくれる人が現れるからです。
初めて売上が発生したときは、本当にうれしいものです。
私も、最初に自分の知識が商品として売れたときのことを覚えています。
自分の経験が、誰かにとって価値になる。
それまで自分の中にしかなかったものが、商品として必要としてもらえる。
これは、会社員として給料を受け取る感覚とはまったく違います。
だからこそ、多くの人は「もっと発信しよう」と考えます。
発信すれば売れる。
発信を増やせば、もっと売れる。
フォロワーが増えれば、さらに売上が伸びる。
この考え方そのものが、間違っているわけではありません。
問題は、売上のほとんどが「今日の発信」に依存してしまうことです。
投稿を止めると、アクセスも止まる。
告知をやめると、商品が売れなくなる。
体調を崩して数日休むだけで、反応が目に見えて減っていく。
このような状態では、発信を続けるために、ずっと走り続けなければなりません。
最初は楽しかった発信が、少しずつ義務に変わっていきます。
「今日は何を投稿しよう」
「昨日より反応が悪い」
「またフォロワーが減った」
「しばらく商品が売れていない」
毎日数字を確認し、そのたびに気持ちが揺れるようになります。
発信が好きで始めたはずなのに、いつの間にか数字に追い立てられてしまうのです。
結果が出ないから辞めるのではなく、続けられない形だから辞める
発信者がいなくなる理由を考えるとき、多くの人は「結果が出なかったから」と考えます。
しかし私は、それだけではないと思っています。
ある程度結果が出ていた人も、発信をやめていくからです。
商品が売れていた人。
フォロワーが多かった人。
周囲から見れば順調そうだった人。
そのような人でさえ、数年後にはいなくなっていることがあります。
ここで考えなければいけないのは、売上の大きさだけではありません。
その売上を、どのような方法で作っていたのかということです。
毎日投稿しなければ維持できない売上。
何度も告知しなければ生まれない売上。
自分が動くことを止めた瞬間に、同時に止まってしまう売上。
これでは、月に数万円、数十万円と売れていたとしても、心と時間は少しずつ削られていきます。
一時的に稼げることと、何年も継続できることは、まったく別の話です。
初心者のうちは、どうしても目の前の売上だけを見てしまいます。
まずは1件売りたい。
月1万円を達成したい。
フォロワーを増やしたい。
その目標自体は悪くありません。
むしろ、最初は小さな成果を積み重ねることが大切です。
ただし、その方法が「自分が毎日動き続けること」を前提にしている場合、いずれどこかで限界が来ます。
会社員の仕事や家事、育児をしながら副業をしている人なら、なおさらです。
毎日何時間もSNSに使えるわけではありません。
急な残業が入ることもあります。
家族の予定が優先になることもあります。
疲れて文章を書けない日も当然あります。
それでも売上を維持するために投稿しなければならない。
この状態が続くと、副業は自由を増やすものではなく、もう一つの仕事になってしまいます。
しかも、自分で休みを決めにくい仕事です。
誰かに強制されているわけではないのに、「休んだら売れなくなる」という不安に縛られてしまいます。
これが、多くの人が発信を続けられなくなる大きな理由の一つです。
SNSでは、昨日までの正解が急に通用しなくなる
さらに、発信者には自分の努力だけでは解決できない問題があります。
それが、プラットフォームの変化です。
SNSの仕組みは、ずっと同じではありません。
投稿が表示される基準が変わる。
外部リンクを含む投稿が伸びにくくなる。
これまで反応が取れていた内容が、急に届かなくなる。
アカウントに制限がかかる。
利用者の興味や流行が変わる。
昨日まではうまくいっていた方法が、ある日から通用しなくなることがあります。
発信を始めたばかりの人にとっては、ここがとても分かりにくい部分です。
自分の投稿が伸びないと、多くの人は自分を責めます。
文章が下手だから。
発信内容が悪いから。
自分には魅力がないから。
もちろん、改善した方がよい場合もあります。
しかし、すべてが本人の能力だけで決まっているわけではありません。
同じ内容を投稿しても、時期や市場の状態によって反応は変わります。
プラットフォーム側の方針が変われば、これまで集められていたアクセスが急に減ることもあります。
つまり、SNSだけに集客を依存していると、自分では管理できない場所に事業の土台を置くことになります。
たとえるなら、いつ契約条件が変わるか分からない土地に、自分のお店を建てているようなものです。
今日までは多くの人が店の前を通っていた。
けれど明日から、通行ルートが変更されるかもしれない。
それでも、その土地を自分の力で元に戻すことはできません。
SNSは、人に知ってもらうための非常に便利な場所です。
私もSNSを否定したいわけではありません。
初心者が自分の存在を知ってもらい、読者と関係を作るうえで、SNSは大きな力を持っています。
ただし、便利であることと、すべてを依存してよいことは別です。
SNSは入口として使う。
しかし、事業のすべてをSNSの上に置かない。
この考え方を持てるかどうかで、数年後の安定性は大きく変わります。
消えていく人には、共通する苦しさがある
発信をやめた人たちは、怠けていたわけではありません。
むしろ、真面目に頑張っていた人ほど疲れてしまうことがあります。
毎日投稿する。
数字を分析する。
伸びている人を研究する。
新しい方法を学ぶ。
無料企画をする。
販売の準備をする。
購入者に対応する。
それだけ努力しても、数か月後には市場の状況が変わり、また別の方法を覚えなければならない。
いつまで経っても、安心できる状態になりません。
売上が増えても、投稿を止めることが怖い。
フォロワーが増えても、反応が落ちることが怖い。
商品が売れても、次に売れなかったらどうしようと不安になる。
この状態では、数字が伸びても心は安定しません。
そして少しずつ、発信そのものが苦しくなっていきます。
「今日は休みたい」
そう思っても、休んだら忘れられる気がする。
「少し距離を置きたい」
そう思っても、離れたら売上がなくなる気がする。
この不安を抱えたまま何年も続けることは、簡単ではありません。
だから私は、発信者の多くが消えてしまう理由を、単純に根性や才能の問題だとは考えていません。
最初から、長く続けにくい構造の中で頑張っている人が多いのです。
どれだけ努力できる人でも、終わりのない作業を続ければ疲れます。
どれだけ発信が好きな人でも、毎日結果を求められれば苦しくなります。
必要なのは、さらに頑張ることではありません。
自分が毎日走り続けなくても、積み上げたものが少しずつ働いてくれる形に変えていくことです。
発信を「消耗する作業」から「残る資産」に変える
ここで、初心者の方に一つ覚えておいてほしいことがあります。
発信には、大きく分けて二つの使い方があります。
一つは、その日に見てもらうための発信です。
もう一つは、あとからも繰り返し読まれ、読者の役に立ち続ける発信です。
SNSの短い投稿は、すぐに多くの人へ届く可能性があります。
一方で、時間が経つと流れてしまい、あとから探されにくいという特徴があります。
ブログや検索される記事、体系的にまとめたコンテンツは、完成までに時間がかかります。
すぐに大きな反応が出るとは限りません。
しかし、読者の悩みに答える記事として残れば、数か月後や数年後にも読まれる可能性があります。
つまり、今日の反応を作るためだけに発信するのか。
それとも、未来の自分を助ける資産として発信するのか。
同じ文章を書くとしても、目的は大きく違います。
発信を長く続けたいのであれば、すべてをその場限りの投稿で終わらせてはいけません。
自分が学んだこと。
失敗から気づいたこと。
誰かに何度も聞かれること。
初心者がつまずきやすいこと。
それらを、あとから読んでも理解できる形で残していく必要があります。
一つの記事を書いたからといって、すぐに生活が変わるわけではありません。
しかし、役に立つ記事を10本、30本、50本と積み上げていくと、それまでとは違う状態が生まれます。
自分が投稿していない時間にも、過去の記事が読まれる。
読者が記事を通して自分の考え方を知ってくれる。
何度も同じ説明をしなくても、記事が代わりに伝えてくれる。
この積み重ねが、発信を続ける負担を少しずつ減らしてくれます。
私がこのことに気づくまでには、時間がかかりました。
以前の私は、発信とは「今、目の前にいる人へ届けるもの」だと思っていたからです。
けれど、本当に長く続いている人たちを観察すると、それだけではありませんでした。
彼らは発信をしながら、同時に仕組みを作っていました。
今日の売上だけではなく、半年後、1年後にも自分を支えてくれるものを積み上げていたのです。
では、長く残る発信者は、具体的に何を作っていたのでしょうか。
なぜSNSの環境が変わっても、同じように活動を続けられたのでしょうか。
次の章では、私自身が「消えずに残っていた人」を観察して気づいた、決定的な共通点についてお話しします。

