こんにちは、ねここです。
今回は、人がなぜ「変わりたいのに変われない」のか
その核心にある「現状維持バイアス」について、わかりやすく解説していきます。
この記事では、以下のような疑問にお答えします。
「現状維持バイアス」ってなに?
なぜ私たちは変化を避けてしまうのか?
現状維持バイアスがもたらす悪影響とは?
現状維持から抜け出すためのステップを知りたい
この心理をどうマーケティングに活かせるのか?
変化できない自分を責めている方、またはライティングやビジネスで顧客心理を理解したい方にとって、役立つ内容になっています。
現状維持バイアスとは何か?
現状維持バイアス(Status Quo Bias)とは、
「たとえ今の状況が最適でないと分かっていても、変化よりも現状を選びたくなる」
という心理的傾向のことです。
このバイアスは1988年にウィリアム・サミュエルソンとリチャード・ゼックハウザーによって提唱された概念で、人間の行動経済学・意思決定論の中でも特に強力な影響力を持つ要素とされています。
なぜ人は現状を変えられないのか?【心理学的背景】
このバイアスが生まれる理由には、以下のような心理的要因が絡んでいます。
理由①:損失回避の法則(ロス・アバージョン)
人間は「利益を得る」よりも「損をしない」ことに強い反応を示します。
現状を変えることで失敗するリスクを本能的に避けたくなるのです。
理由②:エネルギー節約本能
新しいことに挑戦するには、情報収集・決断・行動と、多大なエネルギーが必要です。
人間はできるだけ思考や行動の負荷を減らそうとする性質があるため、現状維持の方が“楽”に感じられます。
理由③:不確実性への恐れ
変化には必ず“未知”がつきものです。
それがたとえポジティブなものであっても、「今より悪くなったら…」という恐れが脳内でストップをかけてしまいます。
現状維持バイアスの具体例
「現状維持バイアスなんて自分には関係ない」と思っている方こそ、知らないうちにこのバイアスに支配されている可能性があります。
ここでは、日常に潜む“現状維持バイアスの代表例”を紹介しながら、「なぜ変化できないのか?」の心理構造も解説します。
シーン | 状況の説明 | 心の中で働いている現状維持バイアス |
---|---|---|
転職 | 今の仕事にやりがいを感じず、転職サイトを毎日見ているが、応募はせずに終わる | 「転職して失敗したら怖い」「今の会社にも慣れているし、大きな不満があるわけじゃない」 |
健康 | 健康診断で「要再検査」が出ても、忙しいからと放置する | 「まぁまだ大丈夫だろう」「今変えると生活が面倒になる」 |
恋愛 | パートナーと関係が冷え切っているが、別れる決断ができない | 「別れたら寂しいかも」「またゼロから誰かと関係を築くのが面倒」 |
投資・副業 | 気になる副業講座があるが、申し込まずに何ヶ月も眺めている | 「今じゃないかも」「もし騙されたらどうしよう」 |
SNS発信 | SNSで発信したいと思っているが、アカウントを作るだけで投稿できない | 「変なこと言ったら恥ずかしい」「誰も見てくれなかったら嫌だ」 |
生活習慣 | 運動不足を自覚しつつも、運動を始めるのを先延ばしにしている | 「忙しいから仕方ない」「来週から頑張ろう」 |
なぜこんなにも共感されやすいのか?
このような例は誰もが経験しているため、ブログやセールス文章で使うと読者の「あるある感情」に深く刺さります。
たとえば、「副業を始めたいけど、なかなか最初の一歩が出ない」と感じている人に対して、次のように書くことで共感を呼び起こせます。
「あなたはまだ行動していない。それは能力ややる気の問題ではありません。人間誰しもに備わっている“現状維持バイアス”が働いているだけです。」
この一文だけで、「そうか、自分だけじゃないんだ」と安心してもらいながら、読み進めてもらえるのです。
上記のように、「今すぐ変えるべき」と頭ではわかっていても、心のどこかで「今のままのほうが楽」「後で変えればいい」と考えてしまうのが現状維持バイアスです。
ポイントは、「合理的な判断ではなく、感情に支配されている」という点です。
特に以下のような感情が、変化を阻む原因となります。
面倒くさい(行動コスト)
怖い(リスク回避)
なんとなく不安(不確実性)
今すぐ困ってないし…(短期志向)
つまり、人は変化そのものを恐れているというより、「変化によって生まれる感情の揺らぎ」を避けようとするのです。
現状維持バイアスのメリット・デメリット比較
現状維持バイアスは「悪いもの」と思われがちですが、実は必ずしもデメリットばかりではありません。
本質は、“変化に対して慎重でいようとする防衛本能”です。
以下に、現状維持バイアスが私たちにもたらす良い面・悪い面を、簡単に比較してみます。
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
安定性 | 慣れた環境で安心感がある | 成長の機会を逃す |
効率 | 判断コストを抑えられる | 非効率な選択を続けてしまう |
精神的ストレス | 不安が少ない | モヤモヤを抱え続ける |
リスク | 失敗のリスクが低い | 成功のチャンスも失う |
メリット側は「リスクを避け、エネルギーを温存する」ためには有効です。例えば、大きな決断を何度も繰り返していると脳が疲弊します。その点で、現状維持という選択肢は安全弁の役割を果たします。
デメリット側は「変わるべきときに変われない」という停滞を生む原因になります。たとえば仕事や人間関係で明らかに不満があるのに、それを変える行動に出られない…という状態です。
結論
現状維持バイアスは「敵」ではなく、「使い方を間違えると足かせになる」という心理作用です。
安全に変化する準備を整えた上で、バイアスを乗り越える工夫が必要なのです。
現状維持バイアスの打ち破り方【5ステップ】
変われない原因を「意思の弱さ」と捉える方もいますが、それは違います。
現状維持バイアスは人間に備わった本能です。
本能を扱うには「仕組み」で上書きしていく必要があります。
これを知らない人はどんどん人生という時間を損していきます。
以下は、私が実際に試して効果があったステップです。
ステップ | 内容 |
---|---|
ステップ① | 現状の問題点を“数字”や“時間”で可視化する |
ステップ② | 「変わらないことのリスク」を意識化する |
ステップ③ | 変化を小さな一歩に分解する |
ステップ④ | 成功後のビジョンを具体的に描く |
ステップ⑤ | 周囲に「宣言」して逃げ道をなくす |
現状維持バイアスを壊すには、「やる気」や「精神論」では足りません。
必要なのは、“脳の働きそのもの”に逆らわないで、「変化の仕組み」を設計することです。
私自身も、なかなか一歩踏み出せなかった時期がありました。
でもこの5ステップで少しずつ現実を動かしてきました。
あなたもぜひ、できるところから試してみてください。
ステップ①:「現状の損」を“可視化”する
目的:
「今のままでいること」のリスクに気づくため。
なぜ効果的か?
現状維持バイアスは、“現状=安全”という誤った安心感から生まれます。
だから、「現状=ジリ貧・悪化していく道だ」と気づかせることが第一ステップになります。
やること:
「このまま変わらなかったら1年後どうなっているか?」を紙に書き出す
時間・お金・機会損失を数字にする(例:「月2万円損してる」)
心理の変化:
「何もしないことが、実は一番リスクなんだ」と脳が納得してくれる
ステップ②:「一歩目」をとにかく小さくする
目的:
“最初のハードル”を極限まで低くして、行動の摩擦を減らす。
なぜ効果的か?
現状維持バイアスの正体は、「面倒」「怖い」「不確実」。
そこで、「この程度ならできる」と思わせる行動が鍵になります。
やること:
いきなり「転職活動をする」ではなく「求人サイトを1社だけ見る」
「ジムに通う」ではなく「スポーツウェアに着替えるだけ」
心理の変化:
「やってみたら意外とできた」「動くのって思ってたより簡単かも」
ステップ③:変化後の「理想の未来」をリアルにイメージする
目的:
「変わる意味」を感情的に納得させる。
なぜ効果的か?
人間は、“今の延長”を想像するのは得意ですが、
“変化後の自分”を想像するのは苦手です。
変化した未来が“抽象的”なままだと、脳は動きません。
だからこそ、未来像を視覚・感情レベルで具体化することが大切です。
やること:
「変化に成功した一日」を時系列で書く
(朝起きて何を見て、どんな気分で、どんな成果があるのか)スマホの待ち受けに“理想の生活”の写真を設定する
心理の変化:
「変わる価値がある」「これを手に入れたい」と感じられるようになる
ステップ④:「先延ばし癖」を壊す“期限”を設定する
目的:
「あとでやる」を許さない環境を作る
なぜ効果的か?
先延ばしの言い訳は、「今じゃない」「もう少し考える」。
このフレーズに何度も騙されてきたのが、私自身です。
でも、“決断に期限を設ける”と、脳はそれを「終わらせるべきタスク」として処理するようになります。
やること:
「〇月〇日までに、最初の行動を取る」と決めてカレンダーに記録
SNSや友人に「〇日までにこれやります」と宣言しておく
心理の変化:
「考えてるだけじゃ、時間が過ぎていく」と自覚が芽生える
ステップ⑤:「変わることが前提」の環境に身を置く
目的:
「変わってもいい」と思える安心感を作る
なぜ効果的か?
現状維持バイアスは、「失敗して笑われたくない」「孤立したくない」という社会的リスクにも反応します。
逆に、変化が“当たり前の空気”の中にいれば、自然と行動は変わります。
やること:
SNSで「変化を楽しんでいる人」をフォローする
学びのコミュニティに参加する(講座、グループ、交流会など)
「失敗してもいい場所」を一つ持っておく(習慣化アプリなども◎)
心理の変化:
「自分もやっていい」「変化してる人って意外と多い」と思えるようになる
打ち破りステップまとめ表
ステップ | 狙い | 実践例 |
---|---|---|
ステップ① | 現状のリスクに気づく | 損失を数字で可視化する |
ステップ② | 行動のハードルを下げる | 着替えるだけ、調べるだけ |
ステップ③ | 理想の未来をリアルにする | 変化後の1日をストーリー化 |
ステップ④ | 先延ばしを断ち切る | 期限・宣言・カレンダー記録 |
ステップ⑤ | 安心して変われる環境を作る | SNS・コミュニティ・仲間 |
変わる力は、誰にでもある
私たちは、「変わりたいけど変われない」ことを何度も経験します。
でもその正体は、あなたの能力不足でも、意志が弱いわけでもなく、
ただ、現状維持バイアスが無意識に働いていただけなのです。
この5ステップを通じて、「行動する自分」に少しずつ近づけます。
マーケティングと現状維持バイアスの関係
マーケティングの現場でも、このバイアスは非常に重要なキーワードです。
消費者が商品を「買わない理由」は、実は多くが「現状維持バイアス」によるものです。
典型的な言い訳:
「今は必要ないかも」
「もう少し様子を見よう」
「悪くはないけど、今のままでも困ってない」
この“微妙な納得状態”が、セールスを失敗させていくわけです。つまり、現状維持バイアスはセールス心理学においても有効に使うことができます。
ライティングにおける突破口の作り方
現状維持バイアスを乗り越えるには、「言葉の力」で感情を揺さぶる必要があります。
有効なライティング構成例:
現状を可視化:「あなたが“まだいいや”と思っている間に、他の人は結果を出しています」
損失を想像させる:「このまま進めば、5年後も同じ悩みを抱え続けているかもしれません」
一歩目の提示:「まずはプロフィール文を1行だけ変えてみてください」
明るい未来を描く:「毎朝スマホを見るたびに、購入通知が届く日常を想像してみてください」
人には現状維持バイアスが働いているからこそ、それをうまく使ってあげることで誰かの未来を変えてあげる手助けもできるというわけです。
セールスでの現状維持バイアス対策
顧客の現状維持バイアスを崩すためには、言語と感情の設計がカギになります。
使えるフレーズ例
フレーズ | 狙い |
---|---|
「あなたは今、選ばないことで“選んで”しまっています」 | 現状維持も“選択”であることを自覚させる |
「今日動かなければ、明日も何も変わりません」 | 緊急性と危機感を演出 |
「これは“あなたのための商品”です」 | パーソナル感を演出し、無関心を壊す |
現状維持バイアスが強い人の特徴として
完璧主義・過去の失敗経験が多い・自信がない・責任を取りたくない人が多いです。
バイアスを壊す決定的な方法は?
「行動せざるを得ない状況」を意図的に作ることが、もっとも効果的です。
まとめ:変われないのは「甘え」じゃない、でも打ち破る力は誰にでもある
最後にもう一度、お伝えしたいことがあります。
現状維持バイアスは、誰にでもある正常な心の働きです。
でも、それに気づいた今からは違います。
変化しないことのリスクを知り、
ほんの少しの「一歩」を今日、踏み出すかどうかで、
半年後、一年後の人生はまるで違う景色になっているかもしれません。
それでも何もしないなら、
それはもう「自己責任」です。
私自身、この現状維持バイアスに何度も足を止められてきました。
でも、それでも小さな一歩を重ねて、ここまできました。
この記事が、あなたのその一歩の背中をそっと押す存在になれたら嬉しいです。

